スライド蝶番は、色々な家具で使われていますよね。スライド丁番とも書き、スライドヒンジとも言います。蝶番(チョウツガイ)とも読みます。ちなみに丁番は当て字ですが、今はこちらが主流です。
主にシステムキッチン、下駄箱、洗面所などの扉に使われていますね。1例をあげます。
スライド丁番、スライドヒンジというのは、これですね。
取り付けた後に、扉の位置が調整できる、扉の開き角度を一定化することが出来る、キャッチ付きを使えば、別にマグネットキャッチなどを用意しなくても済む、扉を閉めると中に完全に隠れる、などなどの理由でよく使われます。
しかし、この丁番は、壊れますよね。良く壊れると言っても過言ではありません。そもそもヒンジ部って、力が掛かりますので壊れやすいのは当たり前なのですが、昔ながらの平蝶番と比べると、壊れてばかりいるって感じです。偏見でしょうか。
そこで、このスライド丁番の取替の仕方をまとめて書きますので、よろしければ参考にして下さい。
スライド丁番の種類
取り替えるにあたって、スライド丁番を購入しなくてはいけません。ネットで注文すれば良いのですが、様々な種類があり、間違えて買うと困った事になりますので、説明します。
もし家具に着いているスライド丁番のメーカーと、型番が分かれば、迷わずそれを買って下さい。刻印がしてあるはずです。(並んでいる扉でも、隣の扉と同じ丁番になっていない場合、かぶせの違いなどがありますので、注意してください。)
しかし、海外で作っている家具などは、聞いたことがない、日本で売っていない丁番が使われていたり、古い家具だと、メーカーがもう存在しない、または同じ型番のものを作っていないなどがありますよね。
でも、安心して下さい。形式が一緒のものなら、どこのメーカーのものでも、そのまま使えます。
以下、説明しますが、大切な違いは、かぶせと、カップ経だけです。それがわかったら、選んで購入してもよろしいです。色々なスライド丁番がありますので、樂天で探して買うのが楽でしょう。
かぶせ
まず、「かぶせ」を確認して下さい。スライド丁番には、「全かぶせ」と、「半かぶせ」と、かぶせのない「インセント」があります。
全かぶせ
扉のチョウツガイの部分の板が、棚の本体の立て板をすべて隠しているものが全かぶせです。分かりにくいでしょうか。全かぶせは、こういう感じです。鏡がついているのが開け閉めの扉です。
扉の板が本体の板厚に、全部かぶっていますよね。全部被さっている扉で、単独になっている扉でよく使います。
この全かぶせのスライド丁番は、こんな感じです。
半かぶせ
これに反して、半かぶせはこんな感じです。
こちらの本体の板は、扉の板ですべて覆われていませんよね。板厚の部分を半分だけかぶせています。これが半かぶせです。半かぶせと言わず、12㎜かぶせとか、かぶせる寸法で表示している丁番もあります。18㎜になると全かぶせでしょう。
この写真の扉とは違うのですが、システムキッチンの扉などで、となりにも扉が並んでいると、開くときにヒンジ部が回転して、隣の扉をこじってしまいますので、そう言う部分では、半かぶせを使います。扉と扉の間に、隙間を作るんですよね。
半かぶせのスライド丁番は、こんな感じの形のものです。
分かりますか? ぼこっと突き出ているというか、持ち上がっていますよね。
つまり、全かぶせというのは本体の板厚に対して、全部かぶるものです。半かぶせというのは、本体の板厚に対して半分程度かぶるものです。うーん、そのまんまの話です。
インセント
インセントと言うのは、写真がありませんが、特殊なもので、全然かぶりません。つまり本体の中に扉が入ってしまっているようなものです。
引き出しって、全部枠の中に入って(はまって)いますよね。それが扉であったらって感じのものです。玄関や部屋の扉って、閉めたときに扉が枠の中にすっぱりと入っていますよね。そんな感じです。
ただし、かぶって無い場合でも取付位置の工夫で、全かぶせの丁番を使っている場合がありますので、注意して下さい。
そのそもインセントはあまり使われていないと思います。写真を撮るために家中を見ましたが、インセントは見つかりませんでした。
スライド蝶番の形としては、半かぶせのように上に突き出ていますし、もっと多く突き出ています。
カップ経
扉板の内側に埋め込まれて固定される丸型の部分の寸法(直径)です。26Φ、35Φ、40Φ等の種類があります。
この部分ですよね。だいたい円形でしょう? 穴を開けて埋め込んでいます。この穴の直径が、26㎜であるか、35㎜であるか、などなどの違いです。それが合わないと困りますよね。
定規などで、計ってみて下さい。間違えると困りますので、心配な方は、外して計ってください。
この穴の直径です。26㎜、35㎜、40㎜のどれかに当てはまります。違っている場合は、特殊なものですが、普通はありません。
本当は、穴の深さの違いもありますが、カップ径によって深さは決まりますので、特殊なもの以外は考えなくてもよろしいです。
キャッチ付きとダンパー付き
キャッチというのは、扉を閉めたときに閉まった状態にしておく機構です。磁石などでくっつけておくマグネットキャッチなどが良くありますが、スライド丁番のキャッチ付きは、バネになっているかどうかです。
キャッチ付きで無い場合、閉まっていても扉がぶらぶらです。バネで扉を締めておく方向に力が掛かっているもの、開けるときにほんの少し抵抗があるものがキャッチ付きです。バタンと強く閉まると困るので、中には、扉の上の丁番がキャッチ付きで、下の丁番をキャッチ無しにして、弱いキャッチにしておく場合もあります。
ダンパー付きもあります。ダンパーというのは、ゆっくりと閉まる機能です。あまり使っていないと思います。キャッチ、ダンパー付きと言うものもあります。
これらは取り替える元のものと同じにしなくてもよいです、まあ、好みですが、他のキャッチが扉に付いていない場合は、キャッチ付きが良いでしょう。締めても勝手にパカーって開いてくるのは困りますよね。
ねじ穴の数
本体への取り付けのねじ穴の数が違うものがあります。
これはどういう数でも良いと言えば、そうなのですが、前と同じ程度の穴数にしておく、または同じ穴数のものにしておくと、取り替えしやすいかも知れません。
上と下を比べて下さい、上は取付ねじ穴が4つ、下は穴が2つです。4つのほうがしっかりとして、重い扉も大丈夫ですよね。ただし、穴が多いと、取り付けは面倒かも知れません。
開き角度
扉がどれだけ開くかというものです。105°開きが多いと思いますが、色々あります。これも用途や使い勝手によって選んでください。前と同じ角度にしておけば問題は無いでしょうね。もちろん、あまり気にしなくても良いでしょう。
スライド丁番の取替
それでは、丁番を選んだら、購入します。色々なスライド丁番を選ぶなら樂天が本当に便利です。
さて、取替は1つの扉に付いている上下2つ、もしかしてそれ以上付いているなら、そのすべての丁番を取り替えます。
扉に付いているものと全く同じスライド丁番(メーカー、型番)が手に入ったのであれば、1つだけ取り替えてもよろしいのですが、そうで無い場合は、扉ごとにすべて同じものに取り替えないと、開き角度の違いや微妙な違いなどで故障の原因になる事があります。
スライド丁番の取り外し
普通は、この部分のねじを緩めるか、外してしまえば、取れます。写真の形式の丁番で言えば、もう一つの手前のねじも緩めてスライドさせる必要があります。
色々な形式がありますので一概には言えませんが、色々やってみれば引き抜けると思います。
中には写真の様に、レバーを押すと、ガチャンと外れるものもあります。ワンタッチ方式と言います。
写真はレバーを押して外した所です。上が本体の板に付いている面(取付プレート)で、下側が扉に繋がっている方ですので、注意して下さい。留め金のところが外れていますよね。レバーは元に戻っている状態です。
こんな感じで扉が外れると思います。もちろん、扉の上下の丁番とも外して扉が取れます。
ただ、なんと言いますか、外すときは、ばらせば良いので、よく分からなければ、全部のねじを外して下さいね。
普通は、こんな感じで、取付座(取付プレートとも言います)が残りますので、これも外します。写真のものは、3つのねじで板に固定されているものですね。
扉のほうのカップも外します。
ねじを取っても穴から外し難い場合もありますが、少し引っ張ったり、写真の様に小さなマイナスドライバーでこじったりして外して下さい。
取れましたね。これでスライド丁番の部品は、全部はずれたと思います。いよいよ取付です。
スライド丁番の取付
取付プレートを本体側に取り付けます。今度はねじ穴が2つのものを買ってしまいました。ねじ跡が余りますけど、まあ、大丈夫でしょう。
穴の位置は、新規取付なら、計ってみなければなりませんが、古いものと取替なので、元の穴で良いでしょう。多少の位置は後で調節が出来ますので、大抵、大丈夫です。ねじは古いねじをそのまま使うとよいと思います。
ねじ穴を駄目にしてしまって、その位置にねじ込まないと困る場合は、マッチの軸に接着剤を付けて、ねじ穴にがんがんに埋め込んでください。固まったら、そこにねじ込んで下さい。ただし、強度が落ちますので、ねじ穴を駄目にしないようにするのが肝心です。
扉にカップも取り付けます。
さすがに元の穴とは位置が合いませんので、穴の中にしっかり入ってまっすぐに付くように固定し、木ねじをねじ込んでいきます。これも元のねじを再利用すると良いでしょう。
新しいねじを使う場合は、もちろんですが、板厚より長いものにしてしまって、裏に突き出るようなことがないようにして下さいね。
ねじ穴が同じ位置で良いなら、ねじ穴を駄目にしないように同じねじを使い、慎重にねじ込んでください。
取り付きました。まっすぐになっているかが大切です。
ここまで来れば後は、はめ込むだけです。扉を誰かに支えて貰って、取り外した時と逆に嵌めて下さい。この丁番はワンタッチ方式なので、パチンと嵌めるだけです。
形式によって嵌め方は様々ですので、一概に言えませんが、取り替えする新品の丁番の説明書を読んだり、もしくは、嵌める前に構造を見たり、試したり出来ているはずですので、難しくはないでしょう。
スライド丁番の調節
スライド蝶番は、取替した後、もしくは、ずれたりしたときに、その都度、その都度、調節が要りますが、やってみれば分かります。
なんて言うと非常に無責任なのですが、始めは何が何だか分かりませんが、何度かやってみれば簡単なのですよ。つまり、いじっていれば何となく分かります。
こんな感じに隙間がある場合、つまり、ぴったりと本体に扉が接触していないで浮いてしまっている場合ですね。逆に接触しすぎていて、はまらない、もしくは、開け閉めでこじってしまうときも同じです。
このねじを緩めて、スライドさせて、奥の方にずらして(軽く押しながら)しっかりと締めます。扉に余裕がない場合は、手前のほうにずらして(引っ張って)しっかりと締めます。
扉の上の方の隙間や、下の方の隙間に応じて、上の丁番も、下の丁番も調節します。
こんな感じになりました。まだ隙間がありますが、私はこのぐらいにしています。
扉と扉の間に隙間が空いてますね。又は、ぶつかっている場合。
この場合、どちらの扉がずれているかにもよりますが、ずれている方、もしくは両方の扉を調節します。
このねじを調節します。上の方も下の方も同じように隙間が空いている場合、平行にずらせば良い場合は、下の丁番も、上の丁番も同じように調節します。
このようにずれてる場合は、傾いている扉のほうの上と下の丁番を逆に調節して、傾きを直します。
どちらに回すとどうなるかは、スライド蝶番の形式によって、違います。
こう言う形式の調節ねじと、普通のねじのようなものとは、回した時の挙動が逆になります。(ねじ山が見えるように緩めていますが、この場合、プレートは板側に押されています。)
これで説明は終わりです。回してみれば直ぐに分かると思います。つまり、スライド丁番はたった2つのねじで、調節が可能です。
まとめると、最初に書いた奥の方にあるねじで、扉を本体に密着させる浮かせるなどの前後の動き。二つ目の手前のねじで、扉の傾き、左右の動きを調節します。
調節しきれないならば、取付プレートの取付位置が少し悪いと思います。少し木ねじを緩めて、ずらして締め直せるようなら、それで調節してください。
交換と調節は、間違ったものを購入しなければ、難しくはありません。
何度か定期的に交換をしていますし、現在も錆が出ていて、交換をしたほうが良い丁番もありますので、また何か伝えておいてほうが良いことを思いつきましたら、ページを更新しますので、うまくいかない方は又たまに見て下さい。